Respire「Hiraeth / 失われた郷愁」
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■ アーティスト:Respire
■ タイトル:Hiraeth / 失われた郷愁
■ フォーマット:CD
■ レーベル:3LA
■ リリース年:2024年
カナダ・トロントRespireが融合させる激情ハードコア・オーケストラ、Emo/Screamoのエッジの一端を10年間走り続けたバンドが放つ渾身の2024年作が3LAより国内盤CDとしてリリース!
"Godspeed You! Black Emperor" meets "envy"とも言える哀シンフォニックな上物にスクリームしバーニングするサウンド、とにかく「失われた郷愁」という邦題がしっくり来すぎます...ジャパニーズカルチャーやenvyやMONOなどの日本バンドからの影響もあるようで初めて聴いても意外とスッと入ってくるような部分もあり。
【レーベルインフォ】
カナダ・オンタリオ州トロントを拠点に活動するRespireは2014年にデモEP『Demonstration』を発表し、シーンに登場した。今から約10年も前の作品とはいえ、その時点で彼らは明確にEmo/Screamoの文脈とクラシック/オーケストラへの接近を試みており、以降Zegema Beach RecordsやMiddle-Man Records、Left Hand Label等の激情ハードコアシーン重要レーベルからのリリースを重ねる中で自身の音楽性を追求、2020年にリリースされたそれまでの活動の総決算とも言える『Black Line』では更に広範囲のリスナーから支持を獲得することになった。
2024年にリリースされた本作『Hiraeth』はそれから3年以上の月日をかけて制作されている。長期に渡り時間が掛かってしまった理由としてはトロントからテキサス州へ移住したメンバーもおり、物理的な距離が発生した中での移動による制約も大きかったようだ。作品の内容としては移民として自身も抱えている問題、危機感がより一層反映されており、同時に故郷、帰る場所への哀愁も感じさせる表現も含まれており、これまでの作品以上に様々な感情を引き起こすアルバムになっている。『失われた郷愁』という邦題はその内容を表してはいるが、歌詞以上に楽曲、演奏、音そのものが彼らの抱えている哀愁や、そして未来への希望も語りかけていることは伝わるだろう。若き激情ハードコアバンド達との大きな違いでもあるが、人生を重ねていく上で生きることそのものの意味やアイデンティティーへ踏み込んでいく表現は長く活動しているバンドならではの深みがあり、そして「音楽の力」という手垢のついたワードさえ、改めて感じさせる。
Respireは同国カナダのGodspeed You! Black Emperorに大きく音楽的影響を受けていることももちろんだが遠く日本への想いがあることも見逃せない。かつて2018年にZegema Beach Recordsよりリリースされたenvyのトリビュートアルバム『Envy/Love』にはRespireによる「Go Mad And Mark」カバーが収録されているが、海外で大きな評価を得ているMONOやenvyはポストロックやハードコアへのクラシック音楽を融合させていくアプローチを取っておりRespireの手法と共鳴するものがあり、またEP『Demonstration』が明らかにスタジオジブリ作品『千と千尋の神隠し』(英題:「Spirited Away」)がアートワークに使用されているように、ジャパニーズカルチャー的価値観によって様々な要素の融合を計っているようにも思える。音楽を通して発信するメッセージを重要視してきたバンドが故に、西洋的な価値基準にのみ基づいた表現ではないことも特筆すべき点だ。本作は歌詞カードに日本語歌詞のみを掲載しているが、アートワークにおいてもフロントジャケット以外は日本版として新たに再編集が施されており、そこにも十分な意味が感じ取れるだろう。
Track-List
1. Keening / 哀歌
2. The Match, Consumed / 使い古しのマッチ
3. Distant Light of Belonging / 遠き光
4. First Snow / 初雪
5. Home of Ash / 灰の家
6. Voiceless; Nameless / 声なき声
7. The Sun Sets Without Us / 俺たちのいない日暮れ
8. We Grow Like Trees in Rooms of Borrowed Light / 借り物の光
9. Do the Birds Still Sing? / 小夜啼鳥の歌
10. Farewell (In Standard) / 別れの挨拶